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第2話
初めて会った「センセイ」の第一印象は、今まで交わったことのないくらい平凡な大学生だった。
修悟のいう「センセイ」を調べ上げるのはそんなに難しいことではなく、恋人に聞き込みをして家庭教師を雇っているらしいことが分かってからはセンセーの通っている大学や名前を知るのは早かった。
センセイの大学へ向かい、修悟の名前を出して話しかけると、事情を知っているのか至極嫌そうな顔をして、人違いとか明らかに分かる嘘をついた。
今までに出会わなかった反応に若干動揺しつつも、悟られないようにいつもの笑顔で押し切りデートと称しカフェへと向かう。
会話の節々からセンセイは修悟のことを大切に思っているのは分かった。大切というか、レンアイ的な意味で修悟のこと好きなんじゃないの?とさえ思える。
そして明らかに俺に敵意を向けているセンセイに対し妙案が浮かぶ。
「修悟のカレシのあの子、ちょっかい出すのやめてあげるよ。そのかわり、センセイ俺と付き合って。」
「は?」
恋人のことは、もう飽きたというかどうでもいい。
修悟の「絶対」というセンセーを落としたら、このゲーム、俺の勝ちでしょ。
嫌がるセンセイに、半ば脅迫的に「恋人」になり、ラインも交換した。
一方でセンセイとの約束通り、修悟とは和解した。
その後は彼は恋人とうまくいっているようだ。
恋人にはっきりと気のないことを伝えたら、しっかり修悟とヨリを戻したらしく、見た目によらず意外と強かな性格だと感心したものだ。
俺ならあんなにスペック比較されたら付き合いたいとは思わないけど、恋は盲目なのか、意外とバカなのか。
…
「最近、速見さん楽しそうですね」
名前も覚えていない取り巻きがそんなことを話してきた。
「そうかも。」
「恋人」になったセンセイこと優一は、かなりの強敵だった。
ここ数年は言ったことのないような歯の浮くようなラインはそっけなく返された。
かと思えば普通の友人のような返事は送られてくる。
友人というか、子ども扱い?
今まで、周りにはイエスマンしかいなかった俺にとっては新鮮で、毎日のように何でもないようなラインを送るのが楽しみになっていた。
優一とは会うのはたまにだけど、毎日のように送っているラインと電話。
最初のうちは警戒していた様子だったそっけないラインだったが、今は普通に会話できるくらいには打ち解けてきた。
優一が子ども扱いするからか、俺も思わず幼稚な会話をすることが増えたと思う。
いつもとキャラ違うんじゃないかと自分でもツッコミたくなるけど、優一は茶化すわけでもなく普通に接してくれるのも心地よい。
ちょっとした愚痴を言えば寄り添ってくれるのも嬉しくなる。
ゲームなんかじゃなく、優一に惹かれているのに気づくのはそう時間がかからなかった。
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