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第4話
冷静に考えれば食器を片付けるために近づいただけなのに、何を言おうとしたんだろう。
俺らしからぬ勘違いに、優一が部屋に戻ったらどう誤魔化すかシミュレーションしながら待機する。
が、宅配にしては時間がかかっていて一悶着あっているらしい来客。
大きい声ではないが、優一が困っているような声が聞こえる。
気になってドア越しに来客を確認すると、相手は修悟だった。
玄関口で優一は修悟を抱きしめていて、
修悟も優一を抱きしめかえしていた。
「、、、修悟が一番かっこいいよ。」
その言葉に満足そうに笑っているのがわかる修悟。
まさかの来訪者とその光景に、目眩が起きる。
「絶対に」先生は俺の方をカッコいいというよ、そう言っていた修悟のあの言葉が重くのしかかる。
動けないでいると、修悟が先生に「キスして」というのが聞こえた。
これ以上は耐えられないと、震える足にむち打ち「お熱いね〜」と二人の前に飛び出た。泣きたい気持ちを抑えながら、普段通りの作り笑顔でニヤニヤと笑いながら二人の様子を伺う。
「速見、お前先生まで騙して、本当最低だ。俺への嫌がらせでここまでするなんて。」
修悟は本気で怒っているような、それでいて勝ち誇ったような表情で俺を睨みつける。
「それは褒め言葉として受け取っておこうかな。修悟の言う通り、俺も面食いだからセンセーは好みとは違ったけど。ここまでいろいろ楽しかったよ、センセー。もう会うことはないだろうけど、、、またね。」
そう言って優一の部屋を去った。
そういえば、優一は修悟のこと好きだったよね。
俺ってばキューピッド役になったと言ってもいいんじゃないか?
無理やり納得させながら帰った。
優一に本当の気持ち伝えなくてよかった。
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