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第6話 そんなとこ……見ないでよ……っ
一ノ瀬は静かに身を起こし、有馬の火照った頬にそっと口づけを落とした。
次の瞬間、彼は有馬の短パンを一気に引き下ろし、両脚の裏を支えてぐっと持ち上げる。
露わになった有馬の秘部が、一ノ瀬の視線の真下にさらされる。
「後悔しても、知らないからね。」
そう言って一ノ瀬は、腿の付け根に口づけを落とした。
何をされるのか理解が追いつかず、有馬は戸惑いながら身をよじったが、脚は胸元に押さえつけられていて逃げられない。
「ちょ、ちょっと待ってっ!」
焦った声をあげる有馬の視線の先で、一ノ瀬はその密やかな場所をじっと見つめていた。
ぴたりと閉じた花弁には、うっすらと紅が差している。一ノ瀬はそこに顔を近づけると、鼻先でそっと触れた。
「な、何する気なの!?」
有馬は必死に一ノ瀬の顔を押しのけようとするが、体勢的にどうにもならない。
羞恥心が全身を襲う。自分の一番見せたくないところを、こんなにも間近で見られている――
「するって、決まってるじゃん。……セックス」
一ノ瀬はそうささやきながら、自分の指を舐めて潤し、ゆっくりとその入り口に触れていった。
「……っあ!」
指先がわずかに入り込んだだけで、有馬の身体はビクンと跳ねた。
慣れない感覚が全身に広がっていく。心も体もまだ追いついていないのに。
一ノ瀬はその様子を見て、堪らなくなっていく。有馬の反応一つひとつが、彼の理性を奪っていった。
その後、指がゆっくりと出入りするたび、有馬の口からは不規則な吐息が漏れ、体の奥ではかすかに蜜のような感触が溢れはじめていた。
舌が触れたのはそのすぐ後だった。
一ノ瀬の口元から熱のこもった呼気がかかり、ひやりとした舌先が、秘所をなぞる。
「や、やだ……やめて……」
弱々しく拒む声。けれど脚は肩にかけられたまま、一ノ瀬は動きを止めようとはしなかった。舌は奥へと伸び、彼の体内をゆっくりと、ていねいになぞっていく。
有馬は逃れようと腰をくねらせたが、一ノ瀬はそれを許さなかった。
舌先が蕾の縁をなぞりながら奥へと滑り込み、喉奥から絶えず溢れる唾液を、少しずつ有馬の身体の中へと流し込んでいく。
「ぴちゃっ、ちゅっ……」といやらしい水音が響き、冷たい舌が腸壁を探るたび、有馬の背中はソファに深く沈み込んでいった。
下半身の奥がとろとろに濡れて、妙に満たされていく感覚に、有馬の喉が震える。
一ノ瀬は唇を離し、指でそこをそっと押し広げた。
舌で送り込んだ唾液が、縁からとろりと流れ落ちていく。指先で出口を塞げばせき止められ、少し開けば再び溢れ出す――まるで弄ばれているような、ぞくぞくする淫らさだった。
「……これが精液だったら、どうなってたんだろうな」
そう呟きながら、一ノ瀬は目を細めて有馬の様子を楽しげに眺めていた。
しかし、有馬はそうもいかない。肩にかけていた脚がくすぐったそうに揺れ、無意識か、甘えるように一ノ瀬の肩に爪を立てる。
「……み、見ないでよっ!」
「はいはい、見ませんって」
そう言いながら、一ノ瀬はまた唇を落とした。
今度は舌を奥へ差し込むことなく、縁に口づけ、やさしく吸い上げる。
狭い通路に溜まっていた唾液が、内側からじゅわっと押し出され、空気に触れるたびに有馬の体が小刻みに震える。
「ふ、ぁ……っ、ん……っ」
可愛らしい喘ぎが唇の隙間から零れ、一ノ瀬の耳に届くたび、彼の下腹がじわりと熱くなる。
ようやく口を離すと、敏感になった有馬のそこがきゅんと収縮して、まるで続きをせがんでいるようだった。
一ノ瀬は上体を起こし、有馬の耳元に顔を寄せる。
吐息がふっと触れ、耳たぶに舌がそっと触れた瞬間、有馬はまた甘く声を漏らした。
「……奏汰って、本当に、美味しいんだな」
……もう、だめだ。
そんなふうに感じながらも、有馬の視線の先にあったのは、自分の昂ぶったもの。とろりと濡れた先端を、思わず手で隠そうとして――
恥ずかしい……こんなの……
だがその手が触れた瞬間、またもや逃れようのない快感が背筋を駆け上がった。
一ノ瀬は有馬の上着をめくり、胸元に口づけを落とす。
「ほんとに……色っぽい子だね。」
「~~あぁ……だ、ダメ……っ、さわらないでぇ……っ」
一ノ瀬の左右の人差し指が、有馬の乳首を左右からそれぞれ挟むように押しつける。小さく硬くなった突起は、いじられるほどに主張を強めていく。
まるで猫が毛糸玉を転がすように、左をくすぐり、右をちょんちょんと突く――それだけで、有馬の身体は勝手に胸を突き出してしまう。もっと触れてとせがむように。
有馬は一ノ瀬の首に腕を回し、口を開けてキスを求めた。けれど一ノ瀬は、わざとそれを避けるように顔を逸らした。
半開きの瞳で不満そうに見上げる有馬に、一ノ瀬は手の動きを止めることなく言う。
「……舌、出して」
キスを求めたいなんて、こんなに強く思ったのは初めてだった。
有馬は素直に、自分の舌をぺろりと突き出す。口を開けたままだと、吐息混じりの声が漏れ続けてしまう。
一ノ瀬の指先が、乳首の表面を爪でなぞった瞬間――有馬の瞼が震えて閉じられ、切なげな声が喉からこぼれた。
舌の先から唾液がぽたりと落ちても、一ノ瀬の唇は一向に近づいてこない。
うっすら目を開けると、一ノ瀬がじっと、自分を見つめていた。まるで何かに魅入られたような、その視線に――急に胸の奥が締めつけられるような羞恥に襲われて、有馬の目に涙がにじむ。
それに気づいた一ノ瀬が、「ごめん、ごめんね」と言いながらようやく舌を伸ばし、有馬の舌に絡めてくる。
久しぶりに触れ合う舌先に、有馬はそっと目を閉じた。目尻が、ほんのりと濡れているのを自分でも感じながら。
だが、ほんの数秒舌を絡めたところで――
突然、一ノ瀬の指が下から押し入ってくる。
有馬はその衝撃に耐えきれず、一ノ瀬の舌を咥え込むようにして、くぐもった声を漏らした。
「ん……っ、ふ、ぁ……っ……」
脚が一ノ瀬の腰にからまり、自分でも気づかないうちに、体が求めるように動いていた。
一ノ瀬はその様子に目を細めながら、そっと囁いた。
「……ほんとに、君って……かわいすぎて、たまらないよ。」
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