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第1話〜とあるVtuberグループの配信〜
『今日もカラフル日和』
配信冒頭 — ムードメーカー登場
配信画面が切り替わり、蒼都がカメラ前で腕を広げる。
「はいはい、みんな〜!元気か?」
と開口一番、甘い声で。
「今日もカラフル、全力で行くぞ!」
と明るく宣言し、視聴者のコメント欄が一気に
「きたあああ!」
「蒼都アニキ最高!」
と熱くなる。
その傍らでは
陽太がにこにこと無邪気に手を振りながら
「きゃー!蒼兄ぃ、蒼にぃー!」
と呼びかけ
カメラの前でぴょんぴょん跳ね回っている。
配信が進む中、蒼都は陽太の世話を焼いている。
「今日の配信画面チェック、ほら陽太また髪が跳ねてる。おいで」
と、彼の髪にそっと手を伸ばす。
陽太はそのまま何も考えずに
「うん、ありがとう、蒼兄ぃ」
とくっついてくる。
その距離感に
蒼都の胸がきゅっと締め付けられる。
陽太の無邪気な笑顔と甘い声が
心の奥で
“ただの弟以上だ”
と告げているようで…。
その瞬間
カメラ越しにもわかるほど蒼都の顔が少し赤くなり
呼吸が乱れた。
心臓の鼓動が
普段よりも確かに速い。
自分でもよくわからないその胸の高鳴りを
「…なんか…こいつ見てると…いや気のせい」
と蒼都は思いながらも
表向きは笑顔で陽大をポンと頭を撫でた。
緑担当の翠は
画面の端で腕を組みながらニヤリと笑っている。
配信中に湧き上がるコメントの中に
「青黄コンビ尊い」
「距離感たまらん」
「アニキ、陽太に甘い!」
といった文字が混じりだすのを見て
翠は舌打ちしながら
「またか…」
と含み笑み。
心の中では
「いいぞいいぞ、蒼都、照れろ照れろ。その距離感、視聴者向けに供給しすぎだろ」
とほくそ笑む。
だが口には出さず、むしろ
「陽太、今日も元気だねえ」
と軽くいじる程度に抑えている。
そこに、紅が乱入する。
「おっと、お邪魔していいか?」
といきなり声をかけてきて
陽太がぱっと振り向いて
「紅くんやほー」
と嬉しそうに抱きつく。
蒼都は一瞬ぎょっとするが
すぐに穏やかに微笑んで
「おう、紅おつかれ」
と、そっと紅から陽太を引き剥がす。
紅は蒼都の腕の中にいる陽太に
ちょっかいをかけながら
「君たち、マジで仲いいな」
とぼそっと言う。
その一言で
蒼都は心臓がまたじわじわと熱くなるのを感じる。
配信の進行中
「青黄最高!!」
「二人と近すぎ!」
「ほんとに恋人か?」
など、コメント欄は盛り上がっている。
翠はその様子をじっと見ていて
「ほら見ろ、視聴者皆わかってるじゃん…ふふ、これだから青黄はやめられない」
と小声で呟く。
そして時折、蒼都が陽太に向けて微笑むと
「蒼兄、ほんとにデレ期入りそうだな」
と舌を出すくらいのテンションで茶化す。
配信中盤
何気ない話題で陽太が
「気づいた、ぼくタレ目が好きだわ」
と無邪気に言う。
それにニヤニヤしながら翠はすかさず
「蒼兄、垂れ目して」
とリクエスト。
画面越しにもわかる様に蒼都は目線を下げてみるが
陽太からの
「それは流し目って言うんだよ」
のツッコミに
より一層眉を下げてみるがうまくいかない。
そんな一生懸命な様子の蒼都の様子に皆で笑っていたが
「大丈夫、そんなんしなくても好きだから」
の陽太の言葉に
自然と眉は下がり蒼都の笑顔が溢れた。
「えへへ〜、蒼兄可愛い!」
と抱き付き無邪気に笑う陽太。
蒼都はさすがに顔を赤らめながらも
「…はいはい、もうこの話おしまい」
と言いつつ
つい抱きついてきた陽大の腰に手を回す…
が、慌てて引き剥がそうとする。
翠はその瞬間を見逃さずに
「ああもう…ほんとに供給過多だわ、この青黄」
と画面の視聴者に向かって舌打ち混じりの笑いを伝える。
「こいつら分かってるんだか分かってないんだか…でも、反応が面白すぎじゃん」
その横で紅が
「それじゃ今日はこのノリで終わりにするか!」
と配信の締めに入る。
翠が
「また次回も、カラフル盛り上げていくぜー!」
と明るく言い放ち
陽大が
「はい!またね〜!」
と元気に手を振る。
蒼都は最後に
ほんの一瞬、陽太を見つめながら微笑み
「…またな」
と甘く呟き、配信は終了の画面に切り替わる。
配信後、コメント欄には
「蒼にぃ、陽太に甘すぎ!💦」
「距離感尊い…」
「翠さんのいじり最高ww」
「これは完全に青黄恋!?」
といった書き込みがひしめき
タグ「#青黄供給」は一時トレンド入りする勢いだった。
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