4 / 8
#03
母親と同じように薄暗い部屋で覗く携帯。
淡く光るSNSの画面には透也の名前。
誰にいいねを押して、誰にどんなリプライを返しているの?
僕がいない時間、誰のことを考えているの?
自分のしていることが客観視できなくて、僕の行動がおかしいのかおかしくないのかも分からない。
ただ透也のフォロー欄に知らない名前が増えていて、それだけで心が黒い染みが拡がっていく。
その子のページには笑顔の透也と映る写真が載っていて、無意識に携帯を壁に投げつけた。
見覚えのある女の子はあのときの人。
――前に透也に告白してた子?付き合ったの?
透也には僕がいるじゃん。なんでその子なの?
なんで何も言ってこないの?
僕の方が透也のこと分かってあげられるのに。
僕が一番、透也のこと見てるのに。
なんで、なんで、なんで。
画面の割れた携帯は二人の間に亀裂をつくって、それを見てひどく安堵する。
このまま二人の関係も同じように壊れてしまえばいい。
僕が必要なら僕だけを見てて、他の誰もその目に映さないでよ。
僕以外を必要とするならもう透也なんていらない。
頭ではそう思っても浮かぶのは笑顔の透也で、僕から離れていくなんてそんな簡単にできそうもない。
ねぇ僕って本当に必要なの?
僕は透也の親友でいられてるの?
自問自答なんかじゃない、自分で問うても答えは誰からも返ってこない。
ともだちにシェアしよう!

