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#03

母親と同じように薄暗い部屋で覗く携帯。 淡く光るSNSの画面には透也の名前。 誰にいいねを押して、誰にどんなリプライを返しているの? 僕がいない時間、誰のことを考えているの? 自分のしていることが客観視できなくて、僕の行動がおかしいのかおかしくないのかも分からない。 ただ透也のフォロー欄に知らない名前が増えていて、それだけで心が黒い染みが拡がっていく。 その子のページには笑顔の透也と映る写真が載っていて、無意識に携帯を壁に投げつけた。 見覚えのある女の子はの人。 ――前に透也に告白してた子?付き合ったの? 透也には僕がいるじゃん。なんでその子なの? なんで何も言ってこないの? 僕の方が透也のこと分かってあげられるのに。 僕が一番、透也のこと見てるのに。 なんで、なんで、なんで。 画面の割れた携帯は二人の間に亀裂をつくって、それを見てひどく安堵する。 このまま二人の関係も同じように壊れてしまえばいい。 僕が必要なら僕だけを見てて、他の誰もその目に映さないでよ。 僕以外を必要とするならもう透也なんていらない。 頭ではそう思っても浮かぶのは笑顔の透也で、僕から離れていくなんてそんな簡単にできそうもない。 ねぇ僕って本当に必要なの? 僕は透也の親友でいられてるの? 自問自答なんかじゃない、自分で問うても答えは誰からも返ってこない。

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