8 / 8
エピローグ
SNSには相変わらず仲良くうつる二人がいる。
今はもう幸せそうな二人を見ても、母親から暴言を言われても何も思わなくなった。
透也のことは変わらず好きなのに、もう話すことはない。
教室で少し見ることくらいしかできなくなった。
たまに目が合っても透也の方から逸らされて、僕のことをみることはもうない。
それでも教室で聞こえる透也の声は僕の心を少しだけ満たして、家につくころにまた空っぽに戻る。
そんなぎりぎりの日々がずっと続いている。
ゆらゆらと海面が波立って揺れるように、ずっと凪にはならない自分の心。
僕がいないまま透也の平穏な日々はこれからも続いて、僕の日々はこれで終わる。
透也が僕のものにならないなら、僕が生きている意味がない。
ねえ透也、本当に大好きだったよ。
教室が立ち並ぶ校舎棟。その中のひとつに透也を見つける。
ごめんね。だいすき。
それだけ送信して、鳴り響く携帯を無視して僕は別棟の屋上からジャンプをした。
雲一つない青空がまるで凪いだ海のようで綺麗だと、そのときになって初めて知る。
一度狂った歯車は壊れたままなおらない。これで全部、おしまい。
ともだちにシェアしよう!

