24 / 226
22
(これが、キス。本当の、キス……!)
夢中で暁斗の舌を求める昴は、ぐいと体を強く抱かれた。
そのまま彼に身を任せ、咥内で愛し合った。
「ん、ぁ。ふッ、ぁあ、ん」
声が漏れる。
この僕が。
何て、はしたない。
美しくない。
(だけど、気持ちよくて幸せで。刺激的で、たまらない……!)
やがて暁斗が、そっと唇を離した。
昴は、名残惜しい、とすら感じた。
もっともっと、こうしていたかったのに。
「私は、もう寝ます」
そう言う暁斗の声は、少しかすれているようだった。
「昴さまも、お休みになられますか? ……御一緒に」
その言葉が、何を含んでいるか。
解らない昴では、なかった。
枕を並べてぐうぐう眠ってしまう前に、一体何が起きるのか。
待っているのか。
怖い。
(キスより先のことは、さすがに未体験なんだけど?)
まだ幼い頃、学習したことはある。
ただそれは、講師が定型的に教えてくれただけだ。
実践となると、それはまた別の話になる。
それでも、不安より好奇心の方が勝っていた。
何より、暁斗と一緒に居たかった。
少しでも長く、同じ時間を過ごしたかったのだ。
先に歩いて寝室へ入る暁斗について、昴も中へ入った。
昴の部屋に比べれば簡素な寝室だが、不思議な香りがした。
暁斗の焚いた、香だろうか。
不思議な香りは、そのまま未知の世界への手招きのようだった。
ともだちにシェアしよう!

