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 すでに暁斗の部屋へ到着しているのに、自室に戻ろうとする昴だ。  その腕を、暁斗は慌てて掴んだ。 「今夜は許してくださるのでは?」 「その気じゃなくなった! 放せ!」 「今更それはございません」 「放せ! はーなーせー!」  じたばたともがく昴を、仕留めた小鹿のように肩に担ぎ、暁斗はのしのしと室内へ入った。  手足をばたばたさせて、ぎゃんぎゃん叫ぶ昴は、うるさいを通り越して愛らしくさえある。  そのまま寝室へ入ってしまうと、暁斗はベッドの上へ昴を横たえた。 「昴さま……!」  彼は、すぐに昴の上へと被さった。  口でその柔らかな唇を塞ぐと、時間とともに昴はおとなしくなっていった。  耳をかじり、首筋を何度も舐めると、ぶるぶる震えながら小さな声を上げるようになっていった。 (やはり。口では嫌だと言っても、胸の内では許しておいでだ)  暁斗はそう考え、ご機嫌で愛撫を続けた。  しかし昴の方は、その胸の内で葛藤していた。

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