132 / 226

18

  「僕、何だか気が楽になったよ」  それは、僕の心には永遠に暁斗がいてくれる、という強い根が張ったからなんだ。  根が張り、芽は伸び、青々とした葉を茂らせる。  そして花咲き、実を結ぶ。 (そうか。そうだ、これでいいんだ)  顔を上げた昴に、暁斗は少し困った表情を見せた。 「あの噂は、間違いです。一体どうして、そんなデマが広がったのでしょう?」 「じゃあ、久保田先生とは結婚しない、ってこと?」 「ええ。私は、昴さまより大事なものはありません」 「えっ? 藤原の家は?」 「それとこれとは、また別ですよ」  調子がいいんだから、と昴はようやく笑顔を見せた。  晴れやかな、眩しい笑顔だ。  暁斗も微笑み、美しい主人の、美しい手を取って立たせた。 「では、参りましょうか」 「どこに?」 「寝所へ。初夜を迎えに」  暁斗の言葉に、昴はみるみる頬が赤く火照った。 「い、今さら! 別に、暁斗とは初めてじゃないし!?」  だが彼は、ひょいと横抱きされ、寝室へといざなわれた。

ともだちにシェアしよう!