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 暴れるでもなく、わめくでもなく。  昴はただ、身を固くしていた。  体が強張って、声も出せない。 (僕、とっても緊張してる……)  すっかり大人しくなってしまった昴をベッドに横たえると、暁斗は額に口づけた。  こめかみに、目に、鼻に、顎。  喉に、左胸に、みぞおち。  肝、腎、そして、性器。  衣服を脱がせながら、ひとつひとつ丁寧に、暁斗は昴の全身に唇を落としていった。  昴もまた口づけを受けながら、その意味を感じていた。  暁斗がキスしているところは、全て人体の急所だ。  そこに優しく触れることで、暁斗は絶対に昴を傷つけないと誓っているのだ。  最後に、足の小指にキスをされた。  すっかり素裸になった昴からは、体の強張りが消えていた。  キスをされる間に緊張は解け、リラックスできていた。  全身をついばまれる間に、心は熱く昂ぶっている。  暁斗が改めて昴に口づけると、彼は待っていたように舌を絡ませた。 「あ、暁斗。暁斗……ッ」  キスの合間に、息を継ぐ。  息を継ぐ合間に、名を呼んでくる。  そして昴の口から、暁斗は初めての言葉を受け取った。

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