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第18話
「浩貴ー、お風呂湧いたよ。先に入ってー。バスタオルは脱衣所に置いてあるからー」
「あ、サンキュ。じゃお先に」
いつもとは違うぎこちない笑みを浮かべて、浩貴は風呂場へ向かった。
彼が翔多の下宿先に泊まりにくるのは初めてではないから、お風呂を使うのも初めてではない。それでも今夜は確かになにかが違う。
それを考えると、翔多は自分でも顔が赤くなるのが分かった。
かっこいい男のお風呂上りというのは、言葉がでないくらい色っぽい。
お風呂から出てきた浩貴を見て、翔多はつくづくそう思った。
浩貴が、女性たちがもれなく振り返るほどの超イケメンだということは、恋人関係になる前から知っていたことだ。
それでも近頃の彼は、それにますます磨きがかかったようで、妙に男の色気を感じさせる。
……このまま一時間でも二時間でも浩貴のことを見ていたい……。
翔多はそんなことを思い、ポーッと彼に見惚れていたようだ。
「翔多……? なに?」
浩貴が濡れた髪をタオルで拭いながら聞いてくる。
「え? あ、う、ううん。なんでもない」
我に返った翔多は、彼によく冷えたミネラルウオーターのペットボトルを差し出した。
「縁側が涼しいから、そこで涼んで待っててよ。んじゃ、オレもお風呂に入って来るねー」
努めていつもの自分を装い、そう言ったあと、翔多はお風呂へ入りに行った。
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