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第2話 レオナルド・カトラレル
僕達が住む子爵邸の窓からは遠くにある山脈が見え、初夏にも関わらずその山頂付近に少し残る雪が太陽の光が当たり、輝いて見える。
青葉を吹き渡るる緑風 が、小高い丘に生い茂る夏草を揺らす。
避暑地のようなその場所は、夏でも外気が20度ぐらいと涼しく、幼い頃からの僕の夢は、双子の弟ミカエルと草原を駆け回ったり、大きな木の下で同じ本を一緒に読むのがことだった。
でも僕は物心ついた時から、外で遊んだことがない。
それは双子の弟ミカエルは体が弱く、外に出られない体質だから。
ミカエルは生まれた時から病弱で、気候の変化や外気の温度が少しでも変わると、咳が止まらず熱が出る。
だからほとんどの時を自室か室内ですごし、外で遊ぶことを夢見てた。
そんな中、僕一人、外で遊べば外で遊びたくても遊べないミカエルが可哀想だと、父様から外で遊ばないようきつく言われていて…。
僕だって外で遊びたかった。
でも「お前は健康な体を授かって生まれてきたことを感謝しないといけない。そして体が弱く生まれてきてしまったミカエルのことを、兄さんのお前が一番に考えてやらないといけない」と許してくれなかった。
父様、母様はもちろん使用人まで、家の中はミカエル中心に動く。
ミカエルが笑えば家の中はひまわりが花咲いたように明るくなり、ミカエルが悲しめば家の中はその悲しみを取り除くためだけに心を砕く。
ミカエルが好きだと言えばそれは常備され、ミカエルが嫌いだと言えば即座に家の中から排除される。
たとえそれが僕のお気に入りのものだとしても……。
僕、レオナルド・カトラレルはカトラレル家の長男。
ミカエルと僕は一卵性双生児のオメガということもあり、白肌に腰まである茶色の髪、エメラルドグリーンの瞳、背丈や肉付きまでも一緒だった。
だが違うところがニつある。
一つは僕はとても健康体で、ミカエルはとても病弱だということ。
そしてもう一つは、僕とミカエルの性格は真反対であること。
ミカエルは病弱だけれど性格は前向きでよく笑い、イタズラ好きで周りの人たちに愛される性格。
なのに僕は健康だがすぐにネガティブになり、周りを気にして何もできない暗い性格。
ミカエルはそんな僕でも『レオのことが大好きだよ』と言ってくれる。
僕もミカエルが大好き。
だからみんながミカエルのことを一番に考えられるように、僕は父様や母様の手を煩わせず、いつだっていい子でいるように頑張った。
頑張らないと、我慢しないと……。
僕のことを誰も見てくれなくても、それは仕方のないこと。
仕方のないことなんだ。
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