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第5話 初恋の人 ②

 翌日、サイモンが父様を説得してくれて、ミカの体調を秘密にしていたことを父様が許してくれ、今後はみんなと食事してもいいとお許しが出た。  朝食の時、本当はサイモンの隣で食べたかったけれど、先に来ていたミカがサイモンの隣に座っていて、僕はミカの向かいの席。  サイモンとは隣同士になれなかったけれど、正面からサイモンを見れたから、それだけで嬉しい。  サイモンがいてくれたら、僕はいつでも嬉しい。  急いで朝食を済ませ乗馬用の服に着替えて、誰にも見つからないように、こっそり厩舎に向かう。  胸がドキドキするのは、誰にも見つからないように行くからか、これからサイモンと一緒に乗馬するのか、どちらもか?  分からないけれど、とにかく僕の胸ははち切れそうなぐらいドキドキする。  厩舎の前には、もうサイモンが待ってくれている。 「遅くなって、ごめんなさい」  僕が言うと、 「さっき来たところだから大丈夫」  とサイモン。 「お坊ちゃま、サイモン様はもう随分前からここに来られて、馬の健康状態などを確認され、お坊ちゃまが来られたらすぐに乗れるように、準備なさっていましたよ」  と僕達の様子を微笑ましそうに見ていた厩務員さんが教えてくれる。 「それは秘密にしてくださいって、お願いしたじゃないですか」  サイモンはバツが悪そうに頭を掻く。  そんなことをしてくれていたなんて、嬉しい。  いますぐにでもサイモンに抱きつきたいけど、僕はもう17歳。  小さな子供じゃないから、そんなことはできない。  少し落ち込んでいると、サイモンが 「おいで」  両腕を大きく開く。 「え?」 「抱きしめて欲しいんだろ?俺もレオを抱きしめたい。だからおいで」  サイモンは僕の気持ちがお見通しなんだろうか?  僕はサイモンの大きな胸の中に飛び込むと、サイモンが僕をしっかり抱きしめてくれる。 「レオは本当に可愛いね」  そう言いながら、僕の髪にキスをしてくれる。 ーサイモン大好きー  言葉が喉まででかかったけど、それは言えない。  僕がサイモンを好きなことは秘密。  だって……。 「どうした?」   サイモンが僕の頭を撫でてくれるけど、僕は首を横に振り、 「早く丘の上まで行こう」  サイモンから体を離した。

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