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第21話 帝都でのパーティー ③

 サイモンと僕はパーティーに招待されている貴族達に挨拶してまわっていると、皇帝陛下がサイモンをお呼びになった。  サイモンは僕のそばを離れるのは心配だと言っていたけれど、皇帝陛下がお呼びになったのはサイモンだけだったので、僕は部屋の隅でひっそりとサイモンの帰りを待つことにした。  のどかな場所で育った僕は、着飾った場所が苦手だ。  部屋の壁にもたれかけながら、場内の様子を見る。  どのご婦人も綺麗で、大人っぽくて、素敵で、自分の子供っぽさが恥ずかしくなってくる。  早く帰りたいな。  そんなことを考えていると、 「オリバー伯爵とはご一緒じゃないんですか?」  気が付けば、数人の男性に囲まれてしまっていた。 「皇帝陛下のところに行っていまして……」 「それでは私達と一緒に飲みませんか?上等のワインがあるんですよ」 「いえ、サイモンにここで待つと言ってありますので」  関わりたくないと、そっとその場から逃げ出そうとすると、そこにご令嬢達もやって来て逃げ道を塞がれてしまう。  リーダーっぱいご令嬢が僕の前に一歩踏み出す。 「ミカエル様は男性のオメガなんですってね」 「はい……」 「男性のオメガの方は、やはり女性のまねごとをされるんですか?」 「え?」 「だって髪を伸ばし結われたり、ドレスをお召しになったり。まるで女性のまねごとではありませんか。やはり女性になりたいのですか?」 「そんなつもりは……」 「それにチョーカーをされてるってことは、まだ番になられてないんですね。本当にサイモン様とご結婚されたんですか?」  後にいた他のご令嬢方が怪訝そうに僕を見る。 「本当に、しました……」  悔しい。あんなことを言われても、きちんと言い返せない。  奥歯を噛み締めるが、涙が溢れて来そうだ。  泣かない。こんなところで泣かない! 「つまんない話、してんじゃねーよ」  ご令嬢方の間を割って入って来たのは 「ルーカス殿下」  皇帝陛下の第二王子、ルーカス殿下。  艶やかな金色の髪、どこまでも透き通る青い瞳、整いすぎるほどの美しい容姿に、スラリと高い身長。博識で武術、戦いでは先頭に立って敵陣に挑み、参謀の仕事まで全てされている。ルーカス様は天が二物を与えたよな存在だった。  僕を含め、周りにいた貴族達が頭を下げる。 「貴族ってほんと暇だよな。そんなこと、どーでもいいじゃん」 「……」  周りにいた貴族達は口ごもる。 「はぁ。自分より強い者には何も言えないのかよ。まぁいい。ミカエル、来いよ」 「え?」  驚く僕の手をルーカス様はぐいぐいと引き、テラスに連れ出す。

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