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第84話 愛とは ④
二人手を繋ぎ店の外へ出ると、
「「「おめでとうございます!!」」」
たくさんの街の人の声が辺りに響く。
来た時に飾られていた街には、さらに紫と青い花の飾りが加わっている。
「今日の結婚式の用意は、全て街の方々がしてくださったんだよ」
サイモンが教えてくれた。
「俺たちサイモン様とレオナルド様に感謝してるんだ。だからこれは俺たちからの感謝の気持ち。どうか受け取ってください」
街の人が先ほど僕が作ったブーケを手渡してくれる。
「皆さん……」
自然と涙が出てくる。
「あ~泣かないでください。泣かないで」
街の人があたふたしていると、
「目が腫れるぞ」
懐かしい声がした。
「ル、ルーカス様!」
「二人の結婚式に俺が参列しないなんて、ありえないだろう」
帝都からはるばるルーカス様が僕達の結婚式に来てくださっている。
「祝いの品はここに持ってこれなかったから、邸宅に置いて来た」
祝いの品?
「ものすごい量のお品で、運び込んだら一部屋潰れました」
こっそりエマが耳打ちしてくれた。
なんだかそれがルーカス様らしくて、うふふと笑ってしまった。
「また笑ったな!レオはすぐに俺のことを笑う。今日が結婚式でなければ処罰していたところだぞ」
悪戯っぽくルーカス様が笑った。
町中、笑顔が溢れている。
僕達を祝ってくれている笑顔が満ちている。
ああ、僕は、僕達はなんて幸せ者なんだろう。
周りを見渡せば、僕達を見守ってくれている人々と、ミカの気配を感じる。
「ミカ、僕幸せだよ。それでね、これからは今よりもっと幸せになるよ。ミカと赤ちゃんの分もね」
高い空を見上げると、一羽の青い鳥と一羽の白い小鳥が飛んでいた。
「こんな街中であんなに青い鳥と白い鳥を見るなんて、珍しいな」
そんな声が聞こえる。
あれはきっと……、
「ミカエル様と赤ちゃんですね。お二人の結婚式に来られたんですね」
エマが言った。
「うん。僕もそう思う」
そう答えるのが精一杯だった。
僕は幸せだ。心から思える。
愛する人と番になっただけじゃなく、ミカや赤ちゃんに愛されて、街の人に愛されて、ルーカス様に愛されて。
それぞれ愛の形は違うけれど、僕を愛してくれているのはかわりない。
そして僕も思う。
それぞれ愛の形はちがうけれど、僕もみんなを愛している。
その愛が、すべての人達を幸せにしますように。
また空を見上げれば、青い鳥と白い小鳥が僕達の頭上を円を描くように飛んでいる。
ー大好きだよミカー
そう心の中で呟くと、青い鳥がピーと鳴く声がした。
ー終わりー
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