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第6話-8 寝起き
翌朝、携帯のアラームで目が覚める秋。
隣にいる春に気を取られなかなか寝付けなかったが、
気付いたら寝落ちしていたらしい。
ふと横を見る。
春は静かに寝息を立てて、眠っている。
初めて見る春の寝顔に、つい見惚れてしまう秋。
す、すげー...と思わず声を漏らした。
その綺麗な顔に、秋は改めて感激してしまった。
すると、アラームのスヌーズが鳴った。
秋はその音にびく!として、長い間自分が春の寝顔を見つめていたことに気付き、ハッとして慌てて春に声をかける。
しかし、びくともしない春。
「春、起きて」と遠慮がちに少し体を揺さぶると、
春はんー...と小さく声をあげて、またすぐに寝息を立てて眠り始めた。
本当に起きない、凄い、と感心し、思わず秋は笑ってしまう。
秋は何度も声掛けを繰り返した。
たまにふわっと目を開けて目線があったりもするのに、
また瞼を閉じてすや...と春は眠ってしまう。
最初の何度かはそれが可愛くて面白くて笑っていたが、
本当に起きないのでだんだんと必死になり、
最後には「春!?!?!起きて!?!?!?!マジで!?!?!?!」と大声をあげ、秋は死闘のように春を起こす作業を繰り返した。
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