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第6話-9 寝起き

繰り返すうちに、段々会話が可能になっていくことに気付く。 「起きて!?」と秋がいうと、小さく「うん...」と返事が来る。 しかしそれでもまだぼんやりと横になったままの春。 
秋はついには春の腕を掴んでベットに座らせ、
肩を揺さぶり「起きて!?!」と必死に声をかけた。 目を瞑ったままガクガクと秋に揺さぶられる春。 うん...と呟き、ふうっと深く息を吸い、ゆっくり瞼を開けた。 そして、眠そうに潤んだ瞳で秋に目を合わせ、
必死な秋の顔をじっと見た後、小さい声でつぶやいた。 
「・・ごめんねぇ・・」 秋はそれに思わず吹き出してしまう。 
春は笑っている秋をただ、ぽけーっと眺めている。 秋は笑いながら、尋ねる。 「いつもこうなの?」 「...うん....」 「起こすのに30分かかったよ」 「...慣れたら......もうちょっと早く起こせるよ」 「嘘お?!」 「.....ほんと」 そうして笑いが止まらない秋を見て、
春もふは、と小さく吹き出すように笑った。

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