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第10話-8 行きたかったな
雨はなかなか止む気配を見せなかった。
秋はベッドに寝転び、春はベッド横のソファにもたれるように座って、
何でもない雑談をしていた。
ふと、秋が尋ねる。
「今日は体調悪かった?」
春はそんなことないよ、と言った。
「そうなん?なんか・・あっくんから、春が現場であんま調子良くなかったって、聞いて・・」
「あっくん?」
「ああいや、その・・俺が、聞いたから。学校でほら、春がなんか様子が・・変っていうか・・・その、疲れてるのかなって思ってたから、心配でっていうか・・・まあ、いや、余計なお世話だと思うけど」
「そんなことないよ」
「なんかあったの?っていうか・・俺なんかしちゃったかなって、ずっと思ってて・・」
春は何度か瞬きをして、それからふふ、と少し呆れた表情をして笑った。
「え、何?」
「いや、すごい子供っぽいこと言うけど」
「え、うん」
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