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第10話-7 行きたかったな

実際、頭によぎった言葉は”泊まっていけば”だったのだが、
やはり秋はそれを言い出せなかった。 雨が止むのを待つ間、秋は春の服を洗濯するよ、と申し出た。 一度は申し訳ない、と断った春だが、
また来る時に取りに来て、と秋が願掛けも込めてそういうと、
じゃあ、とその申し出を受け入れた。 まとめて洗濯機に入れようとすると、
春が少し申し訳なさそうにこれはいい、とシャツを取り出した。 
不思議そうな顔を秋がしていると、
これ手洗いじゃないとダメで、と春は言った。 「手洗い?え、め・・・めんどくさいね?」
 そう恐る恐る言ってきた秋に、春ははは、と軽快に笑った。 
そして、めんどくさいよ、と困った表情をして見せた。 めんどくさいなら今やっちゃう?と秋が提案すると、
春は「実は・・・」と真剣な顔をして秋を見つめた。
 「な、何・・・・?」
 そう目を見開く秋に、少しイタズラっぽく笑ってから、
「・・手洗い用の洗剤じゃないとダメなんです」と言った。 秋は驚いた表情のまま「め、めんどくせ〜!!」と大きな声で言った。 
春はその反応にあははは、と笑い声を上げた。 
秋は春が楽しそうに話してくれるのが嬉しくて、同じように声を上げて笑った。

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