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第12話-3 知りたい
その時、春が寝返りを打つ音が聞こえた。
秋はそれに反応し、ソファからすっと身を起こし、春の方を見た。
春はそれに気づいたのか、ふとこちらに目線を向けた。
目が合い、秋は、あ、あの・・と言葉を発した。
「…ごめん」
春はそれに返事をしないで、ただ秋を見ている。
「…嫌…だったよね?」と、
秋は試すように、恐る恐るそう尋ねた。
春はその質問に、小さく何度か瞬きをした。
考えてる、と秋は思う。
ふっと息を呑み込み、
春の返事をただ待つ。
すると春はまた寝返りを打ち、秋に背を向けた。
秋の心は掻き乱される。
何か言わないと、と思考を巡らせ、自然と手に力が入る。
でも何も言葉が浮かばない。
すると春が、背を向けたまま、小さく呟くように言った。
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