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★第13話-1 キスの後
高校三年生に進学した。
5月。修学旅行。
春は修学旅行を欠席していた。
高校三年になってからというもの、
春はもうほとんど学校に来れなくなっていた。
春はすでにブレイク若手俳優として、
その人気はお茶の間に大きく広がり、
多くの作品で主演を務めていた。
そして、事務所期待の新人アイドルグループのセンターに抜擢され、
来年のデビューに向けてのプロモーションも始まり、
俳優として以外にも、春は多くの番組に出演していた。
デビュー前の新人グループであるのにも関わらず、
春の知名度と人気で、音楽番組にも引っ張りだこ。
春の主演するドラマの主題歌も務め、大注目を浴びていた。
18歳になった春は、深夜までそれらの仕事に明け暮れている様だった。
学校には週に一度ほどだけふらっと現れ、
しかし休み時間などはみんなと過ごさず、
淡々と溜まっている単位を取るための課題をこなしていた。
そんな春を眺めながら、
春と同じ事務所に所属する舛井光里 は、
「よくやるよなぁ」と疲れた様子でつぶやいた。
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