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第12話-6 知りたい

「雨、止んだみたいだね」 秋は視線を窓に移す。 気付けば、大きく響いていた雨音が止んでいた。 
すると春は、秋の方に身体を向け、
秋の足元を跨ぎ、ベッドから降りた。 そして、部屋に干してあるまだ濡れたままの春の服をハンガーから取り外し、
背を向けたまま、「止んだから、帰るね」と言った。 秋は思わず、え、と呟く。 待って、という言葉を飲み込み、
秋は「ま、まだ乾いてないんだし」と声をかけるが、
春はそれに”いつものように”ふっと口角を上げ、
洗ってくれてありがとう、と小さく笑顔を見せた。 そう言って玄関に向かう春を、
秋は呼び止めることが出来ない。 ガチャン、と玄関の扉が閉まる音がした。 一人部屋に残された秋は、
小さく、「なんで…?」と呟いた。

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