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第14話-6 突然の誘い

そうした後、じゃあまた後でね、今瀬くん、と言い残し、
向井は去っていった。 秋はふと時計を見る。
 すでにマネージャーとの約束の時間から少し過ぎており、
あっ、じゃあ俺もそろそろ行くね!と春に声をかける。 そして慌てた様子でその場を去ろうとした時、春が秋を呼び止めた。 「秋」 秋が立ち止まる。 「ん?」 「今日、この後何か予定あるの?」 「えっ、いや、ないけど・・」 「じゃあ、家、行ってもいい?」 その春からの突然の誘いに、
秋は思わずえ!?と声を上げた。 「ダメかな」 春は真剣な表情でこちらを見ている。 「え、え、いや、全然、俺はいい…けど…その…いいの?」 すると春はふっと微笑み、
じゃあ、アイス買っていくね、と言った。 秋は動揺を隠せず、おろおろとしながらも、
「え、うん、あ、じゃ、じゃあ・・」と答え、
そんな秋に春は言った。 「終わったら、すぐに連絡してね」 秋は思わぬ春の誘いに、
どうしても、胸が高鳴った。

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