116 / 209
第14話-5 突然の誘い
秋がその言葉で固まっていると、
あれ?春くん?と一人の男性が春に声をかけてきた。
そうしてかけていたサングラスを外したその男性に、
春は軽く頭を下げた。
その男性は秋に目線を向けた。
秋も春と同じように、頭を下げた。
「どうも、向井です」
男性はそう言い、秋が持っていた資料に気づき、
あれ、と声を上げた。
「もしかして、コンペの子?」
秋があわてて頷くと、
向井は「あら」と軽く言った後、続けた。
「僕、脚本家をしてて、君が受けるドラマを書いててね。」
そう言った向井に、
秋はハッと目を丸くして、再び深く頭を下げた。
「あ、今瀬秋と言います!よ、よろしくお願いします!」
向井はそんな秋に会釈した後、
春に、何?友達なの?と声をかけた。
すると春は、はい、と答える。
向井は、へぇ〜〜と言い、秋を観察するように、じろりと眺めた。
ともだちにシェアしよう!

