125 / 209

第16話-2 聞き分けのいい子

「演技ですか?いやー俺には出来ないですよ」
と、秋は答える。 

「そうかな?でも表に出るシンガーなら、演技はすごく勉強になると思うけどね」

 「まあそうですね、いや、でも想像つかないって言うか」 

「でもほら、見た目もいいんだし」 

「え?そ、そうですか?」

 「うん、骨も綺麗だし」 

「ほ、骨?」 そう言って怪訝そうに返す秋に、向井は微笑みながら返す。 

「そうそう、ほら芸能人は骨格が違う!とかよく言うでしょ?」

 「あー確かに」

 「秋くんは芸能人らしい骨格してると思うし、それに可愛らしい顔立ちだし、人気出ると思うけどな」

 「あはは、いやいやそんな」 そういって頭を掻く秋に、向井は顔を覗き込むように尋ねた。 

「自信ない?」

 「や、自信ないっていうかまあ」 
そういって秋はなんとなく照れたような顔をして、続ける。 「ほら、春とか近くにいると、俺なんかって思っちゃいますよ」 すると向井は真剣な顔で言った。
 「そう?秋くんもとても魅力的だと思うけどな」 思わぬ褒め言葉に秋が戸惑っていると、
向井はスッと秋の頬を撫でた。

ともだちにシェアしよう!