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第16話-3 聞き分けのいい子
えっ、と声をあげる秋。
そんな秋に構わず、向井は ほら、顎のラインとかすごい綺麗だよ と顎を指でスッと撫でた。
「あ、え、あ、そう…ですか?」
「うん、首にかけてもすごいいいし」
そう言って向井はそのまま手ですーっと首を撫でた。
く、くすぐったいですよ…と秋はそれを避けるようにすると、向井はきっとこれまでより低い声で「動かないで」と言った。
秋はその声に途端に動けなくなり、思わず固まった。
向井はそれから、すーっと服の上から秋の身体に沿うように指を這わせていった。
あ、あの…と秋は小さく声を上げるも、向井はそれに反応せず、そのままゆっくり太ももを撫でた。
向井の顔が徐々に近づき、秋は咄嗟に顔を背ける。
すると、低い声で向井が言った。
「いいの?」
秋は動けない。
「ドラマの主題歌に決まったら、親御さんも喜ぶんじゃない?」
オーディションで秋が話したことを引っ張り出し、向井はそう言った。
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