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第16話-4 聞き分けのいい子
そうしてまた向井の手が秋の身体を撫で始めた時、遠くで向井の携帯が鳴った。
向井はそちらに顔を向け、そしてその後秋を一瞥した後立ち上がり、携帯を取る。
秋は止めていた息をは、はあと吐き出す。
電話が終わり、向井がちょっと打ち合わせが入っちゃって、と言った。
秋は急いで立ち上がり、あ、では…と声をかける。
すると向井は「また連絡するね、上がってくる曲、楽しみにしてるから」と言い、続けて、「僕なら、いくらでも融通を利かせられるからね」と言った。
そんな向井にペコリと秋はお辞儀して、放心状態のままマネージャーと家を出た。
どうかした?とのマネージャーに、さっきあったことを打ち明けられず、そのまま帰宅。
その時、春の言葉を思い出す。
「向井さんに呼び出されても、1人では行かないでね」
もしかして春も、
向井に同じようなことを________。
秋は咄嗟に春のメッセージを開くが、
まさかそんなことを聞けない、と
再び携帯を閉じた。
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