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第24話-12 卒業式の日
「春!?春!?!」
秋は咄嗟にそう呼びかける。
ガサガサと布が擦れる音がして、
荒い息が聞こえてくる。
「…はい…」
途切れ途切れにそう答えた春の声に、
秋は必死に呼びかける。
「春!?大丈夫?!!今どこ??!」
「………家…」
春は単語を発するのが精一杯と言った様子で、はぁ、はぁ、と呼吸を必死にしながら答えた。
「家って寮じゃなくて?」
「寮…出て……家…引っ越して…」
「どこ?!住所は?」
「……まだ…覚えて…なく…て…」
「マンション!マンション名も?覚えてない?!」
そう尋ねると、春は途切れ途切れにマンション名らしき単語を発した。
秋はすぐにそれで検索をかけた。
ある、あった!分かった!と必死に春に呼びかけ、今行くから!と電話を切った。
そして秋は家を飛び出した。
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