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第16話

今週末もタカヤの家でまったり過ごしている。 愁はソファに座りながら、 タカヤの横顔をじっと見ていた。 (……なんでこいつ、こんなに優しいのに全然手を出してこないんだ) 不安とちょっとの苛立ちが入り混じり、思わず唇を噛む。 その視線に気づいたタカヤが、ビール片手にニヤリ。 「ん? 俺のこと誘ってんの?」 「ち、違う!」 「違わないでしょ。……分かってるよ。愁、不安なんだろ?」 愁がむっと黙り込むと、 タカヤは肩をすくめて笑った。 「俺、言ったよな。“待ってる”って。愁がちゃんと俺を好きになってくれるまでは手を出さないって決めたんだ」 「……ほんとに?」 「ほんとほんと。最初はちょっと暴走しかけたけど、今は愁の気持ちごと欲しい。体だけとかじゃなくて全部、欲しいんだ」 「……お前、カッコつけてんのか天然なのか分かんないな」 「褒め言葉として受け取っとく!」 思わず愁も吹き出して、不安はいつの間にか消えていた。

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