90 / 171
第90話
「お困りのようでしたら、僕がお相手いたしますので」
「うっ……。い、今は、考えさせて……」
「分かりました。お声がけいつでもお待ちしております。あ、何かあったときのために一応潤滑油置いておきますね」
そう言ってハーリーは、ピンク色の液体が入った瓶を置いた。問題はないだろうけれど、身体に悪そうな色をしている。
「では、今日の診察は以上となります。次は三日後にお伺いします」
「ありがとう……」
失礼します、と言いながらハーリーは立ち上がって、部屋から去っていった。
エドワードは瓶をじっと見つめながら、これを使うことがないようにしたいと思った。
「殿下」
すると、ロドルフが話しかけてきた。エドワードは、はっと顔を上げた。
「ど、どうしたの?」
「お召し物の方失礼いたします」
ロドルフはエドワードの前でしゃがんで、シャツのボタンをとめていった。診察のために外していたことをすっかり忘れていた。
「あ、ありがと……」
すぐに離れていったロドルフだが、エドワードに顔を向けたくないような動きだった。先ほどのハーリーの話が気まずかったのだろう。
ともだちにシェアしよう!

