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第6話-6 明日は
「あっくんは話してくれてたのに、僕は話してなかったから…ずっと、フェアじゃないなって申し訳なく思ってたから」
だから話せるのが嬉しいよ、と春は言った。
それでもなお、不安そうな顔をする秋に、続けて春が言った。
「明後日、昼まで休みなんだ」
その言葉に、秋はパッと表情を変えた。
「え、ほんとに?!」
「うん 秋、何か予定ある?」
「ない、ないない!ないよ!」
「じゃあ…一緒に過ごしてくれる?」
そう言った春に、秋は思わずへにゃあと眉を下げ、春を抱きしめた。
「何しよう…!何かしたいことある?!」
んー、と少し考える間があり、春が小さく言った。
「…一緒にいれるならなんでも」
耳元で小さく発せられたそんな春の言葉に、秋はたまらない気持ちになった。
ぎゅっと春に回した腕の力を強め、おれも…と弱々しく秋は返す。
春も秋に腕を回した。
そして優しく秋の背中をそっと撫でたあと、
すーっと小さな寝息を立て始めた。
いつも夜遅く帰って朝早く出る春を気遣い、初めてのあの日以来、秋は誘うことが出来ていなかった。
明日の夜は――。
秋は想像して思わず熱くなったそれを誤魔化すように、春を再び抱きしめ、目を閉じた。
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