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第6話-5 明日は
「…あのさ」
「…ん?」
「あっくんには…春と付き合ったってこと、言ってもいい?」
恐る恐る秋がそう尋ねると、春はすぐにうん、と言った。
「ほんとに?嫌じゃない?」
「嫌じゃないよ」
「でも…じゃあ、春が話す…?」
秋は、春が誰にも同性愛者であることを明かしてないことを思い、そう提案した。
秋と付き合っていると言えば、自ずとそれを告白することになるからだ。
すると、春は少し黙った後、あした、と言った。
「明日?」
「明日、あっくんと撮影があって」
「あ、うん、見ちゃった、台本」
ふふ、と春はそれに笑った後、続ける。
「その後に、作品の打ち上げがあるんだ もし秋が良かったら…」
「その後、あっくんを家に呼んでもいい?」
思わぬ春の提案に、秋は驚いて腕を緩めて春の顔を覗き見た。
「俺は全然いいけど…」
秋がそう言うと、春はあっくんの予定がなければそうするね、と優しく笑ってそう言った。
「ずっとね、あっくんに相談してたんだよね」
「相談?」
「そう 春のこと好きになってからさ、色々…」
「そうなんだ」
「うん、だからちゃんと…あっくんには言いたいなって」
「うん」
本当に嫌じゃない?と秋は再び春を覗き込んで尋ねたが、春は嫌じゃないよ、と優しく笑う。
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