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第6話-4 明日は

その時、隣にいる春がすーっと大きく息を吸い込むのが分かった。 目をやると、春が薄く目を開いていた。 「…ごめん、寝ちゃった」 春が小さく言った。 秋も慌ててそれに返事をする。 「ううん、俺も寝落ちしちゃってたし…あ、勝手に読んでごめんね」 春は少し口角を上げ、ううん、と優しく言った。 「英語話せるの?」 秋がそう尋ねると、春がんー、と少し伸びをしてから言った。 「父親がハーフで、普段英語で話してたから」 「そうなんだ…!」 春の日本人離れした容姿は父親譲りだったのか、と秋は妙に納得した。 「凄いね、全部英語だよ」 「ふふ、海外の作品だからね」 「海外?え…ハリウッド的な?」 「そう」 「え、春、ハリウッドの映画出るの?」 「うん」 秋は目を丸くした。 そして凄いね、と再び声にあげた。 春はまたゆるくふんわりと笑った。 「寝よっか」 春はそう秋をベッドに誘い、二人は一緒にベッドに横になった。 ちゅ、と軽く触れるだけのキス。 そうして秋は春を引き寄せ、じんわりと暖かい春のその身体を包み込んだ。

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