38 / 236
第6話-4 明日は
その時、隣にいる春がすーっと大きく息を吸い込むのが分かった。
目をやると、春が薄く目を開いていた。
「…ごめん、寝ちゃった」
春が小さく言った。
秋も慌ててそれに返事をする。
「ううん、俺も寝落ちしちゃってたし…あ、勝手に読んでごめんね」
春は少し口角を上げ、ううん、と優しく言った。
「英語話せるの?」
秋がそう尋ねると、春がんー、と少し伸びをしてから言った。
「父親がハーフで、普段英語で話してたから」
「そうなんだ…!」
春の日本人離れした容姿は父親譲りだったのか、と秋は妙に納得した。
「凄いね、全部英語だよ」
「ふふ、海外の作品だからね」
「海外?え…ハリウッド的な?」
「そう」
「え、春、ハリウッドの映画出るの?」
「うん」
秋は目を丸くした。
そして凄いね、と再び声にあげた。
春はまたゆるくふんわりと笑った。
「寝よっか」
春はそう秋をベッドに誘い、二人は一緒にベッドに横になった。
ちゅ、と軽く触れるだけのキス。
そうして秋は春を引き寄せ、じんわりと暖かい春のその身体を包み込んだ。
ともだちにシェアしよう!

