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第6話-3 明日は

松山淳(まつやまあつし)は春と秋の高校の同級生だ。 松山は俳優をしており、高校一年の時に春と松山がW主演を務めた映画で一躍ブレイクした今人気の若手俳優だ。 その映画は春と松山演じる男子高校生同士が恋に落ちるといったBL作品で、秋はこの映画を見て春への恋心に気付いた。 映画は大ヒットを記録し、あれから3年経ち秋らが高校を卒業する間際、昨年の10月からの秋クール、そして今年1月からの冬クールで2クール連続で続編のドラマシリーズが放送された。そして間も無くそのまた続編である映画が公開されることになっていた。 先ほどまで春が読んでいた台本は、その映画のプロモーションの為の撮影用の台本だったらしい。 松山は同性愛者だ。 秋ら友人にもそれをオープンにしており、同性を好きになったことがなかった秋は、春への恋心を松山に度々相談していた。 しかし春と付き合う前、春とキスをして春への思いを伝えたが"これ以上踏み込むのはやめよう"と一線を引かれてから、春と秋はギクシャクした関係が続き、秋はその頃から松山に相談することをしなくなっていた。 ――松山には春とのこと、ちゃんと伝えたいな。 ふと、もう一冊置かれた台本を手に取る。 それを開くと、通常縦書きである台本とは違い、横書きで文字が書かれていた。 しかも捲れど捲れどページには英語で文章が書かれていた。 秋は読めない文字たちに、思わず眉を顰めた。

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