92 / 236
第13話-5 謎の訪問者
玄関を開けると、そこには先ほどの女性が立っていた。
背はスラリと高く、182cmある秋よりも少し低いくらい、おそらく175cm程はあるだろう。
彼女の足元には大きなキャリーケースがあり、ふと目に入った短い丈のスカートからスラリと伸びる脚は驚くほど細かった。
秋が呆気に取られていると、女性は欠けていたサングラスを少しずらし、その瞳をちらりと覗かせて言った。
「え、誰?」
すると背後から足音がした。
振り返ると、まだ起きたばかりでとろんとした表情をした春がこちらに来ていた。
すると女性が大きな声で言った。
「あ!春〜!!」
そう言ってその女性は土足のまま部屋に上がり、春に飛びついた。
秋はそれに大きな口を開ける。
「…くつ脱いで」
春が寝起きの声でそう言うと、女性はポイ、と吐き捨てるようにそれを脱いだ。
それを見て春は眉を少し下げ、行儀悪いよ、とその靴をサッと整えた。
秋はそれを呆気に取られてポカンと見ている。
その時、春の携帯が鳴った。
春が部屋に戻り、電話をとる。
いつもの松永からのモーニングコールらしく、電話が終わると春はいまだどこかぼんやりとしたままシャワーへ向かった。
ともだちにシェアしよう!

