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 ハーブガーデンスタッフの寮に、迎えの車が横付けしてある。  それを見て、和生は安心したような声を出した。 「良かった。怜士さまのお屋敷までは、3㎞ほどあるから」  自転車で行くつもりだった、と和生は言う。 「これなら、倫くん一人でも大丈夫だね」  そう微笑む和生に、倫は心細くなった。 「和生さんとは、ここでお別れなんですか?」 「ついて行ってあげたいけど、ちょっと無理かな……」  でも、倫くんが帰ってくるまで。 「君の部屋で、待ってるよ。安心して」 「ありがとうございます」  少しだけ心を軽くして、倫は迎えの車に乗った。  手を振る和生を置いて、電気自動車は静かに滑り出した。

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