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「う、うわぁ……」 (僕ここで。ホントにエッチしちゃうんだ!)  しかも、憧れのキャラだった、北白川 怜士と、だ。  倫は、小さい頃から両親と共に、よく働いていた。  学校が終わったらすぐに帰り、店を手伝っていた。  友達と道草もせず、部活動にも参加せず。  そのため、友達は少なかった。  それでも昼食後の休み時間などは、仲のいい友人たちといろんなお喋りをしたものだ。 『俺、昨日とうとうキスしちゃった!』 『マジ!?』 『ど、どんな感じだった?』 『興奮しちゃって、よく覚えてなくってさぁ』  でも、最高にハッピーだったよ、と笑顔を見せた友人だった。 (僕も、ついにファーストキスを!)  ハッピーな気持ちになれるのかな、と不安半分期待半分の、倫だ。  立ち止まって少しうつむき、ドキドキしていると、怜士の手が肩に置かれた。  促すように、前へと力を入れられて倫は歩き、ついにはベッドに到着。  すとんと腰を下ろして手を付くと、すべすべの触り心地だった。 (このシーツ、気持ちがいい)  確かめるように撫でていると、隣に掛けた怜士が教えてくれた。 「シルクのシーツだ。初めてか?」 「は、はい」  そして、エッチも初めてなのだ。  倫は、そのことを怜士に告げた。

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