32 / 179

4

「怜士さま」 「ぅん?」 「ぼ、僕。こういったこと、初めてなんです。だから……」  だから、優しくしてください。  小さな声でそう言うと、怜士はうなずいた。 「解った。優しくしよう」  だから、と今度は怜士が声を掛けた。 「力を抜いて。顔が、引き攣ってるぞ」  いい子だから、と大きな手のひらが、倫の頭を撫でた。 (あ。これ、嬉しいかも……)  両親がよくしてくれた仕草に、倫の無意識に構えていた警戒心が、ほぐれた。  笑みを浮かべて見上げた倫に頬を寄せ、怜士は唇ではなくその首筋にキスをしてきた。  首筋から、肩へ。  肩から、鎖骨へ。  そして、胸元へ。  そうしながら、器用に倫のボタンを外していく怜士。 「あ。うぅ、はぁ……」  ぎこちない声を漏らす倫の上衣は、すっかり解かれてしまった。

ともだちにシェアしよう!