78 / 179
5
「……と。まぁ、こんないきさつで、私は少々忙しくなっている」
「大変ですね」
時刻と場所は変わり、怜士は、また倫を寝室へと呼びつけていた。
仮眠くらい取ってください、と側近たちに寝室へ放り込まれてはみたものの、とても眠れそうにない。
緊張で脳が充血し、心身が安らげないのだ。
「そこで、倫の出番だよ」
「僕で、お役に立つのなら」
「倫を、抱きたい。いいだろうか?」
「え、えっと……。はぁ、まぁ、はい……」
面と向かって言われると、恥ずかしいし、ためらいもある。
歯切れの悪い倫の返事だったが、怜士は彼の服を解きながらキスをした。
唇を合わせて、舌を差し出し、倫の咥内を味わう怜士。
その舌先は上顎の敏感な部分を何度もなぞり、倫はキスだけで昂ってきた。
「……っふ、うぅ、ん。は、はぁ、あぁ、ぅん……」
「倫。丈士とのこと、ありがとう」
「え……?」
「君のおかげで、彼との関係が改善されてきたよ」
ありがとう、ありがとう、とささやきながら、怜士は倫の白い素肌に唇を這わせた。
「きれいだよ、倫」
「あ、そこ、は。あぁ、ん、うぅ。はぁ、はぁ、あぁ……」
彼の白い肌が桜色に染まるころ、怜士の頭の中からは、全てのしがらみが消えていた。
ただ目の前の愛おしい少年だけが、心を占めている。
その身に、情に、浸りたい。
それだけを胸に、溺れていった。
ともだちにシェアしよう!

