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「……と。まぁ、こんないきさつで、私は少々忙しくなっている」 「大変ですね」  時刻と場所は変わり、怜士は、また倫を寝室へと呼びつけていた。  仮眠くらい取ってください、と側近たちに寝室へ放り込まれてはみたものの、とても眠れそうにない。  緊張で脳が充血し、心身が安らげないのだ。 「そこで、倫の出番だよ」 「僕で、お役に立つのなら」 「倫を、抱きたい。いいだろうか?」 「え、えっと……。はぁ、まぁ、はい……」  面と向かって言われると、恥ずかしいし、ためらいもある。  歯切れの悪い倫の返事だったが、怜士は彼の服を解きながらキスをした。  唇を合わせて、舌を差し出し、倫の咥内を味わう怜士。  その舌先は上顎の敏感な部分を何度もなぞり、倫はキスだけで昂ってきた。 「……っふ、うぅ、ん。は、はぁ、あぁ、ぅん……」 「倫。丈士とのこと、ありがとう」 「え……?」 「君のおかげで、彼との関係が改善されてきたよ」  ありがとう、ありがとう、とささやきながら、怜士は倫の白い素肌に唇を這わせた。 「きれいだよ、倫」 「あ、そこ、は。あぁ、ん、うぅ。はぁ、はぁ、あぁ……」  彼の白い肌が桜色に染まるころ、怜士の頭の中からは、全てのしがらみが消えていた。  ただ目の前の愛おしい少年だけが、心を占めている。  その身に、情に、浸りたい。  それだけを胸に、溺れていった。

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