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広い座敷に用意された寝具に、怜士は歓声を上げた。
「布団だ!」
すぐに横になり、一回コロンと転がって見せる仕草に、倫は笑った。
「怜士さん、お行儀が悪いなぁ」
「いや、だって。布団で休むなんて、久しぶりだ!」
そして。
「倫と一緒に布団で寝るのは、初めてだな」
「え……」
少し離して敷かれた二揃いの布団を、怜士は引いてくっつけてしまった。
いそいそと寝具の中に潜り込み、自分の隣をポンポンと叩いて見せる。
「さあ、倫も。ここで、お休み」
その仕草が、やけに可愛く、可笑しい。
とても、ほんのさっきまで自動車事故で死にかけていた男には、思えない。
(でも、それが。生きてる、ってこと。怜士さんが生きてる、ってことだよね!)
倫が元気に布団へ入ると、怜士はすぐに抱きしめてきた。
「倫。愛してるよ、倫……」
「怜士さん、れ……」
倫はすぐに唇をキスで塞がれ、言葉を飲み込んでしまった。
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