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「怜士さんが運転する車に乗ると、緊張しちゃうなぁ」 「よしてくれ。あんな事故は、もうこりごりだ」  倫の世界でも、自動運転はレベル4まで実用化されている。  それでも怜士はAIに頼らず、その手で操作するようになっていた。 「乗り心地は、どう? 疲れたり、してないか?」 「怜士さんはいつも安全運転だから、大丈夫」  そして倫は、そっと手のひらを下腹に当てた。  まだ目立たないが、そこには18週目を迎えた命が宿っている。  怜士と倫との間に芽生えた、希望だ。 「そろそろ名前、考えなきゃね。怜士さんは、どんな名前がいいと思う?」 「私はさんざん迷ってるんだ。ただ、白河の母さんは、『玲実(れみ)』はどうか、と言ってる」 「いいんじゃないかな!」 「何でも『相羽 怜実』だと、姓名判断の結果が良いそうだ」  怜士は倫と結婚するにあたって、白河の戸籍を出た。  相羽の家へ入り、今では相羽 怜士として生きている。  新しい世界で、新しい人生を歩む真っ最中だった。

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