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 道の駅へ到着し、怜士と倫は車から降りた。 「ワクワクするね!」 「意外に、現代的なデザインの建築だな」  山あいに建てられた物件に、素朴な外観をイメージしていた怜士は、予想を裏切られた。 「いや。予想は外してこそ、面白い!」 「怜士さんは、何をぶつぶつ言ってるの?」  勇んで店内へ入る怜士の後を、倫は慌てて追った。  屋内には大きく天窓が設けられ、そこから自然光がたっぷり入って来る設計になっていた。  採れたての野菜に、旬の果物。  高級和牛に、地鶏や、その卵。  米に、蜂蜜に、漬物に、生花に、味噌に、お菓子に……。 「すごい! 宝の山だぞ、倫!」  これらの新鮮な良品を、我が『マーケット・相羽』に置かせてもらうことができれば! 「ライバル店を出し抜くことができる! ……って、倫!?」 「怜士さん、こっちこっち!」  盛り上がっているのは怜士一人で、倫は奥のカフェに立って手招きしている。  肩を落とし、怜士は彼の元へと急いだ。

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