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第1話
「こんなところにいたのか」
背後から声をかけると、その小さな影はびくりと体を震わせた。
毛布で全身を守るようにしてうずくまっている。
無駄なことを……
そのいじらしい姿を視界におさめたまま、童 のうずくまるソファへ腰を下ろす。
「起きたらお前がいないので心配したぞ
こっちへおいで」
童 は怒りを燃やした瞳でこちらを睨みつけている。
「怒っているのか。
昨日は多少無理をさせたからな」
こちらの思惑通り悔しそうに顔を赤くして、そっぽをむく。
せまいソファの上、少しでもこちらから距離をとろうと必死で身を捩る姿が哀れを誘う。
かわいそうで――
あわれで――
この上もなく愛おしい
意図せず漏れ出た吐息とともに、童 へ身を寄せる
小動物のようにおびえた瞳が嗜虐心を煽る。
ゆっくりと、こちらの動きを染み込ませるように這い寄り、耳元に口を寄せる。
「そんなに怯えずとも好いではないか
昨日だってあんなにやさしく愛でてやったというのに」
息を吹き込むよう囁きを落とす。
逃れられないように両の腕の中に囲い込み、真っ赤に熟れた果実へ唇を這わせる。
「どうやら食べ頃のようだな」
この後の己の運命を悟った童 は、はじかれたように暴れだしたが、難なく押さえ込むとその小さな体を軽々と担ぎ上げた。
「はなせ!この!はなせよ!!」
幼き者特有の、小鳥のように愛らしい声が、広い屋敷に響き渡る。
「元気が良いのは良いことだか、やはり痩せすぎだな
もっと太らんとこの先つらいぞ」
痩せた小さなお尻をさすると、本能的に危険を察知したのであろう童 は、本格的に暴れ始める。
「冗談だ
お前が育つまでちゃんと待ってやるから安心しろ」
「ふざけんな!」
涙を含んだ声にさらに愉快な気持ちになる。
愉快、愉快
こんなに愉快な日々はいつぶりか――
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