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第11話 R18
抵抗するべきなのに、もっともっとと梗一郎を求める自分を、どこか俯瞰 で捉えるように感じる。
「は……っ、ふ、んぁ……こ、いちろ……さまぁ」
梗一郎が衣服の上から樹の身体を撫で擦り、生地が乳首に当たるたびに、樹の身体はビクビクと跳ねた。
(こんなのおかしい。俺は女の子が好きで、男となんか……)
そう思いながらも梗一郎を拒絶できず、樹はキスをねだるように梗一郎にもたれ、止まぬ愛撫に身体をくねらせる。
「っ、はぁ……樹……」
唇を離すと粘ついた唾液が橋のようにかかり、やがてぷつんと切れて、樹の口元を汚した。それを梗一郎の舌が舐め取って、そのまま顎下から首筋までちろちろと舐め、吸い付いていく。
(肌を舐められるのって、こんなに気持ちいいんだぁ……)
樹は陶然 となりながら、微かな喘ぎ声を漏らす。それに煽られた梗一郎の息が荒くなり、樹のスタンドカラーシャツに手指が伸びた。途端、快感に酔っていた樹の脳内に警鐘が鳴る。
――この先に進んだらもう戻れない、と。
樹はシャツのボタンを外そうとしている梗一郎の手を掴んだ。それに驚いた梗一郎が顔を上げ、「いつき……?」と見つめてきた。樹はこの時はじめて、情欲の色を浮かべた焦げ茶色の瞳を直視する。すると、樹の背中から尾てい骨まで、ぞくぞくとした快感がはしった。
「あ……ああ……っ!」
樹は目を見開いて快感の余韻に酔いしれる。濃厚なキスによって屹立していた陰茎の亀頭から、生暖かい液体が滲み出てくるのを感じた樹は、生理的な涙を滲ませた。口をはくはくさせてぼんやりと宙を眺める樹を見て、梗一郎はごくりとつばを飲み込んだ。
「……樹。そなたまさか、軽く気をやってしまったのかい?」
「あ……え……?」
梗一郎の言葉を理解できなかった樹は、恍惚とした表情を梗一郎に向ける。その際、溜まっていた涙がぽろりと頬を滑り落ちていった。夕闇に染まるアトリエで、衣服を乱れさせ法悦に浸る樹の姿は、一つの作品のように艶めかしく美しい。
まともな判断能力を失った樹は、小さく開けた口から赤い舌をちらつかせ、掴んだままだった梗一郎の手を自分の頬に当てた。
「ぼく、こんな風になったの初めてで……梗一郎さま、助けてくださ――あんっ」
樹が言い終える前にシャツの上から乳首を押しつぶされて、えも言われぬ快感に、樹は天井を振り仰いだ。ほんのり赤く染まった首を差し出すような形になり、梗一郎は遠慮せず、すんなりとした樹の首にかぶりついた。
梗一郎は樹の首に吸い付きながら、左手で硬くなった乳首をいじめ、開いた右手で器用にボタンを外していく。そうして性急にシャツをはだけさせると、桜桃 のように赤く色づいた乳首にしゃぶりつき、舌先でちろちろと舐めたり、緩急をつけて吸い付いた。
「あっ、あん、ああ……っ!」
自分の口から女の子のような甘い声が漏れ出るのを、信じられない思いで聞きながら、梗一郎の手管に翻弄される。
梗一郎は乳首に強く吸い付いてちゅばっと口を離すと、唇と舌で肌を愛撫しつつ、帯の結び目をするすると解いていく。そうして袴を崩し、パッチを下げて、樹の屹立をじっと眺めた。
ツルリとした赤く充血した亀頭は、梗一郎の愛撫によって漏れ出た白濁で、てらてらと光っている。
「ぁ、いやだ……! 見ないで……!」
視姦されていることに気づいた樹は、恥部を隠そうと手を伸ばしたが、梗一郎に手首を掴まれて一|纏《まと》めにされて机の上に縫い留められてしまう。そして――
「ああ……っ!」
白濁を漏らす屹立が、梗一郎の口腔内に収まった。ぬるりとした舌が裏スジを舐めながら、口をすぼめて、柔らかい口腔粘膜か屹立を上下にしごく。
「あっ、あっ、あっ、んっ……これ、だ……めぇ……っ」
ぐちゅぐちゅちゅばちゅばと白濁と唾液が混ざった淫猥 な音が、わずかに残っていた樹の理性を破壊する。樹は初めて味わう口淫の快感に内ももを震わせながら、自由になった手で、梗一郎の髪をかき混ぜた。
「んっ、ちゅぶ……っ、いつき……んっんっ、気持ちいい……?」
口淫の合間に梗一郎の低くて甘い声に訊ねられ、樹は口の端から唾液を垂らして、こくこくと頷いた。それに気を良くした梗一郎は、屹立の根本をしごきながら頭を上下に振り、左手で陰嚢を揉む。
「っ、あああ〜〜!」
あまりの強すぎる快感に、樹は潤んだ目を大きく見開いて、反射的に足を閉じようとした。
「ちゅ、は……っ、……駄目だよ樹。ほら、ちゃんと足を開いて……」
梗一郎は、中途半端に足に掛かったままだった袴を取り払い、樹の足を大胆に開脚させた。そして、樹の気をやらせるために、口淫の速度を上げる。
「あっ、あっ、あっ、あぅ……っ! だめ、だめ、それだめぇ……っ」
焦点の合わない目を宙に向け、樹はふるふると頭を左右に振る。ぢゅぼぢゅぼじゅっじゅっと激しく吸われ、樹の視界がちかちかと明滅し出した。
「んっ、うっ、あっ、ああ、いく……いっちゃうぅ……!」
樹が限界を口にするといよいよ愛撫は執拗になり、梗一郎が雁首をちろちろと舐めたあと、震える屹立を喉奥まで飲み込んだ。
「あっ、いく、いく、いっ〜〜ああ〜〜っ」
全身をびくんびくんと跳ねさせて高みに登った樹は、快感の種が脳内で爆ぜて思考が真っ白になったあと、眠りにつくように気を失った。
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