10 / 28

#Ten

 紅緒が恋心に気づかされたのはティボールトにひとりの女性とのゴシップが流れはじめてからのことだ。  そして彼が身を固めたのは三十二歳だった。相手は以前、ゴシップ記事に取り上げられた貴族の娘で、腰まである波打つブロンドの髪を持った美しい女性だった。彼女こそが彼の最愛の妻となるシャーリーンだ。  ティボールトはシャーリーンから一時も離れることがなかった。それは偏に、彼女を愛していたからだ。  もうこの恋に決着を付けよう。何度彼のことを諦めようかと思ったことか。それでもティボールトへの執着は消せず、紅緒は今でもずっと胸を痛めて生きている。

ともだちにシェアしよう!