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#Eleven
《chapter Ⅳ》
そして紅緒は今日もハミルトン伯の庭にいる。
今日はやけに身体が怠い。そう思ったのは楓に水やりをしていた時だった。昨夜からどうにも体調を崩してしまったらしく、ただでさえ広い庭のそこかしこに点在する、『いろは楓』に水をやるのは一時間弱とかかってしまって一苦労する。
今朝はいつも以上に苦戦していた。
時刻は十一時を回っている。普段ならば裏庭に移動している頃なのに、紅緒はまだ中庭にいた。
時間が経つにつれて身体はますます重くなる。それに加えて咳までも出てくる始末だ。
それでも紅緒はティボールトから笑顔を取り戻したくて懸命に楓の世話をしていた。
咳が止まらず背中が丸まっていく。次から次へと押し寄せてくる咳のおかげで苦しくて、蹲 ると、頭上からひとつの影が差し込んだ。
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