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#Twenty Seven
それでもなんとか真実を知りたくて、紅緒が口を開くと、彼の腕が伸びてきた。ベッドに横たわるよう紅緒を促す。
「この続きは明日にしよう。さあ、今はゆっくり眠りなさい。君がぼくの屋敷に泊まれるよう手配しておこう」
「この状況でどうやって眠れと言うんですか!」
心臓がやけに大きく鼓動している。どう考えても眠れる状況ではない。
「子守歌でも歌おうか」
真剣な眼差しで話す彼がおかしい。
滅多に笑ったことのない彼が、果たして子守歌なんて可愛らしいものを歌えるのだろうか。
紅緒はいつの間にか唇を緩め、笑みを漏らしていた。
「年を考えないといけないんじゃない?」
紅緒が尋ねると、
「それは君も同じだろう?」
彼は唇を緩めた。
滅多に笑わないティボールトの目尻には、紅緒が好きな小皺が刻まれる。
たったそれだけで、胸がいっぱいになった。
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