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第109話
「これで、出てくれたら良いんだが」
小さく呟き、ヒバリはため息をつく。そんな愛し子の姿にポリーヌはほんの少し眉を下げた。
「私もそう願っています。が、嫌な予感が拭えません」
あまり不確定なことを口にしない彼女にしては珍しいと、ヒバリは顔を上げる。何かあったのかと問いかけるヒバリの眼差しに、ポリーヌは一枚の写真を差し出した。
「瓶と一緒にティゼットから預かったものです。倉庫の奥に隠されていたと。残念ながらこちらは樽ではなく小さな瓶に入っていたようで、個数もひと瓶しかなかったため持ち出すことも中身を抜き出すこともできなかったようです。せめてもと、こちらの写真を」
受け取った写真には小さな瓶が写っていた。それは酒というより香水か何かの瓶に見える。酒を提供する店に置いてあったという一点を除けば何の変哲もない瓶のように見えた。しかし下の方に小さく書かれている文字を見てヒバリは目を見開く。
「……これは中身が減っていない。なら、一滴たりとて使われていないと願うより他ないな」
それはずいぶんと望み薄な願いだと理解していながら、ポリーヌはひとつ頷いたのだった。
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