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第183話
「必ずしも報告しなければならないとは思っておりません。ナギ殿はサーミフ殿下に従っておられますが、閣下もヒバリ様もサーミフ殿下の命に従わなければならない道理はございませんので。それに、このようなことを申し上げるのは心苦しいのですが、プロの諜報員でもなく、戦うことのできる兵士でもない方がずっと側にいては動ける範囲も限られてしまいます。そうなれば調査は長引き、同時にヒバリ様がご帰国される日も遠のきます。事件はともかく、ヒバリ様の帰国が遅くなるのは我々としても困りますので」
淡々と告げるポリーヌに凪は無意識のうちに眉根を寄せた。
「……閣下とは違い、ヒバリ様は要職についておられないと記憶していますが」
ヒバリはウォルメン閣下の側にいるが、決して貴族ではない。彼がセランネにいなければならない理由はないはずだ。だからこそサーミフはヒバリに調査協力の依頼をしたとも言える。しかしポリーヌは凪の言葉にはっきり否と言った。
「自国から長く離れることと立場の有無は関係ありません。そしてヒバリ様のことに関してナギ殿にとやかく言われる筋合いもない。違いますか?」
あなたはヒバリのことに関して部外者だ。ポリーヌはそう言っているのだろう。以前の凪であれば、おそらくそれに頷いていた。確かに自分は部外者だと。しかし今はそうも言っていられない。
「確かにヒバリ様の立場について私は何を言う権利もない。そのことに関してはお詫びを。しかし、噂のことに関しては、私は口出す権利があるはずです」
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