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第185話
きっとポリーヌは凪の考えていることを見透かしている。ほんのわずか視線を彷徨わせる凪に、ポリーヌはハッキリと告げた。
「私はヒバリ様のメイドです。私の役目はヒバリ様を全ての災いからお守りすることであって、この国に住まう者達を守ることではありません」
ポリーヌが守るべき者の中に、凪も、ツバキも存在しない。ヒバリに害があることならばポリーヌはどんなことをしてでも主を止め、あるいは逃すだろう。だがヒバリに害が及ばないのであれば、凪やツバキがどうなろうとポリーヌが動く理由にはならない。彼女はそう明言したのだ。
「……この噂が、ヒバリ様に何も害を為さないと?」
そう、言い切るのか?
凪の問いかけに、ポリーヌはあっさりと頷いた。
「ええ、何も」
その絶対とも言える答えに、凪の心が黒い靄で覆い尽くされるのを感じた。
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